家庭菜園をやるなかで、気に入った植物を増やしたり、
一年草のものを継続して育てたくなることも出てきます。
新たな苗を買って増やしてもいいですが、手持ちの株から増やすこともできます。
増やし方は大きく分けて、2つ。
挿し木・挿し芽 もしくは 種。
挿し木・挿し芽は種よりも労力が少なく、安定性があります。
また、親株との性質がそのまま引き継がれます。
今回は、その挿し木・挿し芽の方法とコツを解説していきます。
早速、見ていきましょう。

挿し木・挿し芽とは?
植物の茎や芽の一部を切り取り、土に挿して根を出させ、新しい苗として育てる増やし方のこと。
買い足さなくても苗を増やせるため、家庭菜園との相性は抜群です。
- 挿し木(さしぎ) … 茎を使って増やす方法
- 挿し芽(さしめ) … 若い芽を使って増やす方法
扱う部分は違いますが、基本の考え方は同じです。

どんな植物が挿し木・挿し芽できる?
家庭菜園で特に成功しやすいのは以下の植物
| 種類 | 難易度 | ポイント |
|---|---|---|
| ミント | ★☆☆ | ほぼ100%発根 |
| バジル | ★☆☆ | 水挿しで簡単 |
| ローズマリー | ★★☆ | 下葉をしっかり整理 |
| トマト | ★★☆ | わき芽を挿せる |
| シソ | ★☆☆ | 真夏を避けると成功率↑ |
| サツマイモ | ★★☆ | 切り口を乾かすと◎ |
カテゴリ別:挿し木・挿し芽に適した用土の配合
挿し木・挿し芽用の土は発根を目的としています。
基本的には、肥料分が少なく、根が伸ばしやすいようになっています。
また、挿す木や芽は人間でいう生まれたて赤ちゃんの段階。
病気に弱いので、新品や日光消毒した清潔な土を使いましょう。
🔹果樹(ブルーベリー・イチジク・柑橘・葡萄など)
果樹は「発根まで時間がかかりやすく、蒸れに弱い」ため排水性重視。
| 材料 | 割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 鹿沼土 | 5 | 排水・通気◎、酸性寄りで果樹に合う |
| 赤玉土(小粒) | 3 | 根が伸びやすいベース |
| パーライト | 2 | 蒸れ防止・加湿抑制 |
📌 追加メモ
・特に柑橘類・ブルーベリーは過湿で失敗しやすいので、受け皿に水を溜めない
・霧吹きによる表面湿度のコントロールが成功率UP
🔹ハーブ(ローズマリー・タイム・ラベンダー・ミントなど)
ハーブは「乾燥を好む/湿度に弱い」種類が多いため、かなり排水重視。
| 材料 | 割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 赤玉土(小粒) | 4 | ベースの通気性 |
| 鹿沼土 | 3 | 排水性&保水性のバランス |
| パーライト | 3 | 過湿リスクを抑える/根腐れ防止 |
📌 追加メモ
・ローズマリーは特に発根に時間がかかるので、葉を減らし蒸散を抑える
・ミント系は発根しやすいので、清潔さ重視でシンプルな配合でもOK
🔹果菜(トマト・ナス・ピーマン・キュウリなど)
「発根後の生育を素早く軌道に乗せたい」ため、適度な保水と通気のバランスが大事。
| 材料 | 割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 赤玉土(小粒) | 6 | バランス良い通気性 |
| バーミキュライト | 2 | 保水性高く根張りの助けに |
| パーライト | 2 | 蒸れ防止・排水性向上 |
📌 追加メモ
・果菜は根が伸び始めたら植え替えを遅らせないこと(根詰まりで生育に影響)
・ポット上げ先には肥料入りの野菜用培養土が◎
用土でよくある失敗
| ケース | 失敗理由 |
|---|---|
| 果樹に果菜用の配合を使う | 保水性がやや高く過湿で失敗しやすい |
| ハーブに赤玉土多めの用土を使う | 乾燥を好むため加湿で腐敗しやすい |
| どの植物にも培養土を使う | 肥料負け・腐敗・カビのリスクが高い |
管理のコツ
| タイミング | やること |
|---|---|
| 切った直後 | 植え付け前に枝に水を吸わせる |
| 発根待ち | 直射日光は避け、半日陰で管理 |
| 水やり | 適度に湿り気を保つ |
| 発根後 | 速やかに栄養入りの土へ植え替え |
挿し木・挿し芽は季節で成功率が大きく変わる
同じ植物・同じ手順でも、季節によって発根のスピードと成功率は変化します。
理由は「温度」「湿度」「日照時間」「蒸散量」のバランスが変わるためです。
季節別の成功率目安
| 季節 | 成功率の目安 | 特徴・向いている理由 |
|---|---|---|
| 🌸 春(4〜6月) | ◎ 最高 | 気温が安定/適度な湿度/発根後の生育がスムーズ |
| ☀ 夏(7〜9月) | △ 中〜低 | 暑さと蒸散が強く、萎れやすい/遮光管理が鍵 |
| 🍁 秋(9〜10月) | ○ 高 | 気温が安定/ただし発根後の成長期間が短く冬越しが課題 |
| ❄ 冬(11〜3月) | × 低 | 温度不足で発根が遅い/室内&加温管理が前提 |
挿し木・挿し芽のやり方
① 元気な茎・芽を切り取る
花が咲いていない、若めの部分が成功率高い
② 下葉を取り除く
土の中に入る部分の葉は必ず外す(腐敗防止)
③ 発根促進剤があれば切り口に付ける
あればでOK。なくても根は出る
④ 湿った土に挿す
挿す深さの目安は「長さの1/3」
⑤ 明るい日陰で管理する
直射日光は乾きすぎて失敗しやすい
⑥ 用土が乾かないように管理する
霧吹きで水やりを1~2日置きに
1〜3週間ほどで新芽 or 新しい根が出る
※バジル・ミントなどは「水挿し→発根→土」の順も可。
成功率が上がるコツ
- 朝に採取すると水分が多く状態が良い
- 清潔なハサミを使う(雑菌防止)
- 真夏・真冬は避ける
- 大きすぎる葉は切って蒸散を抑える
- 風と直射日光が当たらない場所に置く
失敗例と対策
| よくある失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 黒く腐った | 過湿 / 蒸れ | 水やり頻度を下げる/下葉整理 |
| しおれる | 乾燥 | 乾燥しやすい時期は腰水も可 |
| 根が出ない | 切る位置が悪い | 節が2つ以上残るように切る |
| カビが生える | 清潔でない | ハサミ・容器を消毒 |
植え替え(鉢上げ)のタイミング
少し掘り返してみて、根が確認できればOK 👇
※植え替え後は 半日陰→徐々に日向 がおすすめ。
まとめ
挿し木・挿し芽は、苗代を節約できるだけでなく、
家で採れた香草・野菜を「ずっとつないでいく」楽しみがあります。
一度コツを掴めば、家庭菜園の幅は一気に広がります。
ぜひ気軽にチャレンジしてみてください。

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