同じ野菜を同じ場所に植え続けていると、なぜか育ちが悪くなったり病気にかかりやすくなったりすることがあります。
これは「連作障害」と呼ばれる現象です。
畑はもちろん、ベランダのプランターでも発生します。
「去年はうまく育ったのに、今年はイマイチ…」という場合は、連作障害が起きている可能性があります。
せっかく植えた作物がうまく育たず残念な気持ちになる前に、
連作障害について、サクッと学んで対策してしまいましょう。
それでは早速、見ていきましょう。

連作障害とは ― 同じ場所で栽培すると植物が弱る現象
連作障害とは、同じ作物(または同じ科の作物)を同じ場所 に続けて栽培することで、
土壌環境が偏り、植物の生育が悪くなる状態を指します。
双葉が黄色くなる、徒長する、球根や実が太らない、病気が出やすいなどの症状が代表的です。
家庭菜園で連作障害が起きる3つの原因
原因① 土中の病原菌の蓄積
同一種類の野菜を植え続けることで、土の中の微生物環境に偏りが生まれます。
結果、その野菜がかかりやすい病原菌が土の中に増え続け、次年度の生育を妨げます。
原因② 特定の栄養素の偏り
植物は栄養素をバランスよく使うわけではありません。
特定の野菜を繰り返すと、その野菜が特に必要とする栄養素だけが不足し、次の野菜がうまく育たない状態の土になります。
原因③ アレロパシー物質(他感作用)
種類によっては、植物が他の植物の成長を抑える物質、
自己防衛物質 を根から出すことがあり、
それが蓄積すると、同じ種類の植物でも成長阻害を引き起こします。
特に連作障害が出やすい野菜(注意すべき科)
| 科の名前 | 主な野菜 | 特徴 |
|---|---|---|
| ナス科 | ナス、トマト、ピーマン、じゃがいも | 連作障害が強く出やすい |
| ウリ科 | きゅうり、スイカ、メロン、かぼちゃ | 2年連続後はリスクが上がる |
| アブラナ科 | 大根、白菜、小松菜、かぶ | 害虫と病気の発生が増えやすい |
| セリ科 | フェンネル、パセリ、ニンジン | 土壌に疲れが出やすい |
逆に、レタス・ほうれん草・豆類は連作に比較的強い部類です。
もちろん、この他にも連作障害が起こりやすい植物はあるので、
その都度調べることをおすすめします。
家庭菜園でできる連作障害の対策・解決策
①栽培する植物のローテーション(輪作)
同じ科の野菜を同じ場所に連続して植えないようにする方法です。
できれば「3〜4回空ける」のが理想ですが、プランターでは「2年ローテーション」でも効果があります。
また間に挟む野菜を、連作に強いにんにくやサツマイモ、小松菜などにすれば、変更の少ないローテーションにできます。
例
- トマト(ナス科)→ 玉ねぎ(ユリ科)→ きゅうり(ウリ科)→ 人参(せり科)→ トマト…
- トマト → サツマイモ → サツマイモ → サツマイモ → トマト…
②コンパニオンプランツを利用する
相性の良い植物同士を近くに植えることで、
病原菌の偏りを防いだり、土壌改善や害虫抑制が期待できます。
例
- トマト × バジル
- ピーマン × チャイブ
- キャベツ × ディル
③土の入れ替え・天地返し・太陽熱消毒
場所が限られる家庭菜園では、
・表面10〜15cmの土を入れ替える
・土を上下でひっくり返す「天地返し」
・夏の強い日差しで黒マルチを被せて太陽熱消毒
などが、病原菌に特に効果的です。
④有機物と微生物を補う(土づくりの継続)
堆肥・腐葉土・米ぬか・植物性有機肥料などを適度に入れることで、
土壌バランスと微生物の多様性が高まり、連作障害が起きにくくなります。
⑤プランターの場合は土を分けて管理する
同じ土を使い回すと連作障害が出やすくなるため、
「ナス科用」「アブラナ科用」など、次回の用途別に土を残すと再発を防げます。
まとめ
連作障害は家庭菜園でも必ず起こる問題ですが、
植物のローテーション、土のリフレッシュ、微生物の補給などを
取り入れれば十分に防ぐことができます。
プランター栽培は範囲が狭いため、対策しやすく、
工夫次第で毎年安定した収穫が期待できます。
この後に何を植えようか、そんなことを考えるのもまた楽しい時間です。
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